幼稚園の謝恩会で起きた「係トラブル」——子どものためと言いながら、大騒ぎしていたのは大人だった

子育ての気づき

「謝恩会の係、くじ引きで決めます」

その一言が、小さな幼稚園を揺るがす大事件になるとは、誰も思っていませんでした。


幼稚園の謝恩会トラブル、ママ友トラブル——検索すると山ほど出てくるこのテーマ。

でも実際に渦中にいた人間にしかわからない、リアルな話があります。

6人の子どもを育ててきた私が経験した、忘れられない出来事をお話しします。



謝恩会は幼稚園の一大イベント

幼稚園の謝恩会といえば、保護者にとって一大イベントです。

卒対(卒業対策委員会)のお母さんたちは、何ヶ月も前から準備を進めます。

会場の飾り付け、プログラムの作成、先生へのプレゼント——本当に大変な作業です。


その謝恩会で、子どもたちにも「係」をお願いすることになりました。

先生に花束を贈る係、みんなが歌う時にカスタネットを打つ係など、いくつかの役割を子どもたちに担ってもらう予定でした。



くじ引きで係を決めたら、大騒ぎに

係はくじ引きで決めることになりました。

箱の中に紙が入っていて、係の名称が書いてある紙と、何も書いていない紙。

何も書いていない紙を引いた子は「係なし」です。

全員に係を割り当てられるわけではないので、仕方のない話でした。


ところが——これが思わぬ「事件」に発展しました。

係になれなかった子のお母さん(の一部)が、猛抗議したのです。

「幼稚園最後の謝恩会で、自分の子だけ係がないなんて、かわいそう。辛い思い出になる」

「全員に何かしらの係を与えてあげてほしい」


卒対のお母さんたちは、そんな意見が出るとは思っておらず、大混乱。

小さな幼稚園がざわざわしました。



結末と、子どもたちの反応

結局、最初のくじの結果通りに係が決まりました。

抗議したお母さんたちにとっては、苦い結末になりました。


でも——当の子どもたちはどうだったか。

係があるかどうか、そんなに気にしていませんでした。

謝恩会当日、係のある子もない子も、みんな同じように楽しそうにしていました。


大騒ぎしていたのは、お母さんたちだけだったのです。



「子どものため」は、時に「自分のため」

この出来事を振り返って、一つ気づいたことがあります。

「子どもがかわいそう」と言っていたお母さんたちは、本当に子どものことを思っていたのでしょうか。


もちろん、気持ちはわかります。

我が子に係がなくて、悔しい。もっと活躍させてあげたかった。

その気持ちは親として自然なものです。

でもアドラー心理学の「課題の分離」で考えると——

「係があるかどうかを気にするのは、子どもの課題」であって「親の課題」ではありません。


子どもが「係がなくて悲しい」と感じたなら、その時に寄り添えばいい。

でも子どもが気にしていないのに、親が先回りして大騒ぎするのは、実は親自身の不安や欲求が動いているのかもしれません。


「子どものため」という言葉は、時として「自分のため」と表裏一体です。



「損した」と感じた時、どう考えるか

係になれなかったお母さんたちは「損した」と感じたかもしれません。

でも長い目で見れば——

係がなかったことで、その子が何か大きなものを失ったでしょうか。

おそらく何も失っていません。


むしろ「くじで決まることもある」
「自分だけ特別扱いされないこともある」という、社会の仕組みを自然に学んだかもしれません。


人生には、得をすることも損をすることもあります。

そしてそもそも、謝恩会の係は損得の問題ではありませんでした。


大切なのは「公平な仕組みで決めたこと」であり、その結果を受け入れる姿勢を、親が子どもに見せることかもしれません。



幼稚園トラブルを防ぐ「仕組み」の作り方

この経験から、幼稚園行事の係決めには「納得感のある仕組み」が大切だと感じました。

仕組み① 決め方を事前に明確に伝える
「くじ引きで決めます。全員には割り当てられません」と最初にアナウンスしておくだけで、後からのトラブルが減ります。


仕組み② 係なしの子への「別の役割」を用意する
プログラムを配る係、会場の飾り付けをする係など、小さな役割を用意しておくと「全員が何かに参加できた」という満足感につながります。


仕組み③ 親が「見守る姿勢」を持つ
子どもが「係がなくて悲しい」と言ってから動く。

子どもが気にしていないなら、親も気にしない。

これが一番シンプルで、子どもの自立心を育てる関わり方です。



過ぎてみれば笑える話、でも当時は大問題

あれから20年以上も経った今、この出来事を思い出すと、少し笑えます。

でも当時の渦中にいたお母さんたちにとっては、本当に大問題だったはずです。

それでいいんだと思います。人は今いる場所で精一杯なのだから。


ただ一つだけ言えるのは——子どもは私たちが思うより、ずっとたくましいということです。

係がなくても、ちょっとした不公平があっても、子どもは案外けろっとしています。


大騒ぎしそうになった時、「子どもはどう感じているか」をまず確認してみてください。

それだけで、ずいぶん気持ちが楽になりますよ。



この記事のまとめ

  • 幼稚園の謝恩会で係トラブルが発生。大騒ぎしたのは子どもではなく親だった
  • アドラー心理学「課題の分離」——子どもが気にしていないことに親が先回りしない
  • 「子どものため」は時として「自分のため」と表裏一体
  • 納得感のある仕組みを最初に作っておくことでトラブルは減らせる
  • 子どもは私たちが思うより、ずっとたくましい
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