赤ちゃんって様々な手の動きをしますよね。
手指の動きに関しては、平均的な発達の基準となる微細運動について、反射に関しては新生児の反射の1つであるモロー反射について、動きとは微妙に違ってしまうかもしれませんが、手に現れる症状の疾患として甲状腺機能亢進症、ファロー四徴症に関して簡単にまとめて書いていきます。参考にしてください。
手指の動き
生後5~6ヵ月 | 手のひらで物を乗せるような感じで、物を持つ。 |
生後7~8ヵ月 | 指5本全体を使ってつまむように持つ。 |
生後9ヵ月 | ビー玉のような丸く小さい物でも指先で転がすようにして遊ぶ。この場合、主に人差し指を使う。 |
生後10~11ヵ月 | 親指・人差し指・中指の指先で物を持ったり、つまんだりする事ができる。また、両手に持った積み木を打ち合わせて遊ぶ。 |
生後12~14ヵ月 | ビー玉のような丸く小さい物でも、親指と人差し指を使ってつまむ事ができる。 |
手先の運動発達は、中枢から抹消の方向に進んでいきます。
よって、腕や脚全体の運動から始まり、手掌の運動、更に指先の運動へと進んでいきます。
生後2~3ヵ月頃までは、手掌に物が触れると強く握り返す反応(把握反射)が認められます。
しかし、生後3ヵ月を過ぎると、赤ちゃんはおもちゃ等を見て、その方向に手を伸ばすようになってきます。
これは、物がある方向・距離を知覚する事と、腕・手を動かす事の協同動作になります。
生後5ヵ月頃には、ある程度、正確にできるようになってきます。随意的に物を握る頃には、手の把握反射が消失します。
物の把握方法は、生後6ヵ月頃までは手掌全体で包み込むように行いますが、次第に指先を使うようになっていきます。
生後12ヵ月では、完全に指先でつまむ事ができるようになります。
モロー反射
モロー反射とは突然、大きな音・動き等、何らかの身体に対する刺激で誘発される反射です。
赤ちゃんはその時、両上肢を広げ、そのまま抱きかかえるような動きをします。
新生児の反射の1つで、生後4ヵ月頃まで見られる生理的なものです。
ビックリした時や大きな物音にも反応して、モロー反射が見られます。
また、腕神経叢麻痺などにより麻痺がある場合は、片側のモロー反射が消失する為に、診断に利用されています。
甲状腺機能亢進症
内分泌疾患の中の甲状腺疾患です。最も頻度が高いのが、バセドウ病です。
自己免疫の1つで、甲状腺刺激ホルモン受容体抗体が、持続的に甲状腺を刺激する事で発症する疾患です。
症状
びまん性甲状腺腫、眼球突出、動悸、手指振戦、食欲亢進、体重減少、落ち着きがない、学業成績の低下
治療
抗甲状腺薬による薬物療法が一般的です。薬物による有害事象(顆粒球減少症)等により、外科的治療を行う事もあります。
予後
薬物療法による永続的治癒率は、60~80%です。
ケア
赤ちゃん・小児期の子どもには、抗甲状腺薬の投与による内科的治療が原則となっています。その為、確実な薬の内服が重要となります。
薬の副作用として発熱、発疹、咽頭痛、リンパ節腫脹、全身倦怠感、白血球減少が現れる為、注意して観察する事が必要です。
体内エネルギーの消耗が激しく、発汗が多い為に、清拭・寝衣交換・高エネルギー食として、できるだけ体力をつけるように援助していきます。
また、神経が過敏になっている為、ストレスを軽減させて、精神が安定するように家族全員が参加して取り組む事が重要になっています。
ファロー四徴症
循環器疾患の中で、先天性心疾患に属するものです。
新生児・乳幼児における心不全症状は、体重増加不良や哺乳障害を伴う事もあり、同時に多呼吸、陥没呼吸、哺乳時に汗をかきやすい等、様々な事も重なる特徴があります。
概念
チアノーゼを呈する代表的な先天性疾患です。
- 肺動脈狭窄
- 大動脈騎乗
- 心室中隔欠損
- 右室肥大
の4特徴があります。
右室の静脈血が大動脈に流れて、チアノーゼを呈します。
また、肺動脈狭窄によって無・低酸素発作を起こす事があります。
症状
チアノーゼ、ばち状指、無酸素発作、呼吸困難、意識消失
特徴
チアノーゼ性心疾患のうち、最も頻度が高い疾患です。
生後3~6ヵ月頃から出現して、2~3才時には見られなくなります。
起床時に最も多く症状が見られます。
特有の無・低酸素発作は、啼泣時・排便時のいきみ・哺乳後・活動時に起こりやすいです。
治療
無酸素発作に関しては、鎮静が重要となります。
また、酸素投与して、鎮痛薬による鎮痛を図ります。
β遮断薬は、肺動脈狭窄を緩和する作用があり、発作時のみならず予防的にも投与されます。
肺血流減少が著しい場合は、短絡手術が行われます。
そして予後は、肺動脈が十分に成長した後、根治手術として、心室中隔欠損閉鎖術・右室流出路形成術が行われます。
ケア
3大ケアが重要で必要になります。
泣かせないようにする事が非常に大切になります。
その為、抱っこ・おんぶ・あやす・一緒に遊ぶ等して泣かない環境に努めます。
排便コントロールも大切で、便秘にならないように努めていきます。
受診時・入院時・退院後に処方された薬は、飲み忘れる事なく確実に飲ませます。
自宅でできる、心臓への負担を軽減するケア
安静の工夫 | スウィングラックに寝かせる 静かな音楽(オルゴールがお勧め)をかける 照明を落とす おしゃぶりを与える(なくても支障ない) 好きなTV、DVDを見る |
泣く事で多呼吸・酸素消費量が増加します。これを防止する為に実施します。 |
保温 | 掛物 手袋 靴下 湯たんぽ |
抹消が冷えると、抹消の血管が収縮して心臓に負荷がかかる為に保温が必要となります。 |
排便コントロール | 腹部マッサージ 食事の工夫(食物繊維が多い物や乳酸菌を含む飲料等) |
腸蠕動運動の低下、発汗、服薬、水分制限、活動量低下等で便秘傾向になりやすいです。 排便時の努責が心臓の負担を増加させたり、便秘によるガス発生が腹部を圧迫したりして呼吸にも影響を及ぼします。 |
呼吸困難の緩和 | 加湿 楽な姿勢への援助 |
痰を出しやすくしたり、呼吸しやすくしたりする目的で必要になります。 |
啼泣時の対応 | 抱っこ(縦・横) オムツ交換 汗を拭き取る 睡眠を促す |
赤ちゃんが泣くには何か原因があります。その原因として、空腹・排泄・睡眠前のぐずり・遊んでほしい・不快や苦痛を取り除いて欲しい等です。 |
以上、赤ちゃんに関する手の動き・反射・手に異変として現れる疾患を書いてきました。
赤ちゃんは日々、成長しています。「昨日できなかった事が今日は少しできた・それらしくなってきた」等、成長が目に見えて分かるくらいです。
その逆に、疾患を伴う事もあります。多くは妊婦健診時や、赤ちゃんの各健診で発覚され治療を開始されているのが現状です。
特に後者のファロー四徴症は重要な疾患で、悩まされている赤ちゃんと、その家族がいます。
目に見えてチアノーゼや呼吸困難、ぐったりしている等、家族の方にとっても不安や心配は大きいものです。
入院治療もありますが、退院後、自宅での生活や元から自宅の場合に備えてお母さん・家族の方ができるケアを一覧表にしてあります。
血液は、栄養素や酸素・老廃物も運搬していて、無意識に速やかに行われています。
これに支障が出るわけですから、とても大きな問題になってきます。
泣かせない事が最大のケアですが、赤ちゃんに24時間、付きっきりで育児のみという訳にはいきません。赤ちゃんの性格・好み、家族環境、病状に応じて工夫する事が大切になってきます。
まとめ
個人的には子どもの月齢が低いうち、生後2ヵ月頃からオルゴールやヒーリングのCDを寝る前(昼寝・夜間)からかけていました。
赤ちゃんも私も落ち着く事で、寝る体制に入りやすかった事、私が離れてもBGMとなって音楽が流れている事で近くに私がいる事を悟っていた様子がありました。
親が落ち着いていると、子どもも落ち着いているものです。当たり前な事ですが、闘病中や赤ちゃんの不機嫌の時こそ、これを活用したいものです。
また、発達段階を意識したり狙ったりした(看護師として少しの知識を使った)わけではありませんが、その時・その時の手の動きを私も一緒に真似していました。
これは、私が無意識にやった行動で、“教えてもいないのに、こんな動かし方をするのか“、”昨日はこれで持てなかったから、今日はこうしたのか“と発見と感激して一緒に同じようにやっていました。
そんな時、我が子は私の手を見て、指で掴んでは手のひらに乗せてという事を繰り返しました。
子どもの吸収は早くて、観察力があると驚きました。
これも私が掴む・乗せるという動作を真似している時に、大人だからできる・速やかに繰り返す事ができるのを、子どもは見ていたのです。
これ以降、子どもを仕向けるようにできるのも親であって、発育の遅れ・異常を発見できるのも親であると強く実感できます。
幸い、我が子には異常がありませんが、多かれ少なかれ何かしらの弱点はあると思います。その時、この事を思い出し、双方にとって良い意味で励みにしたいと思っています。
今回は手の生理的な発達・疾患と、両者が極端になってしまいましたが、赤ちゃんに関する大切なものでもある為、書いてきました。参考にしてください^^
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