後遺症もある日本脳炎から赤ちゃんを守るために大事なこと

日本脳炎は赤ちゃんにも発症する感染症の1つですが、人から人へ直接、感染するのではなく、蚊を媒介として感染します。

死亡率・後遺症が残る確率もある疾患で、ワクチン接種によって予防が可能です。

ここではそんな日本脳炎について見ていきます。

日本脳炎の原因

日本脳炎に感染した豚の体内で増殖したウイルスを、蚊の“コガタアカイエカ”が媒介して感染します。

ウイルス保有の蚊に刺されて、感染・発症します。

日本脳炎の症状

潜伏期間は、7~15日です。

ウイルス保有の蚊に刺された事で、初期・主症状として発熱・頭痛・嘔吐が出現します

次第に項部痙直・ケルニッヒ兆候・腱反射亢進・病的反射等の症状が加わってきます。

また、発症後、数日で痙攣・意識障害が現れる事があります。

赤ちゃんによっては、風邪症状・夏風邪に似た症状で済む事もあります。

発症率としては、ウイルス保有の蚊に刺された赤ちゃん1,000~2.000人に1人の割合です

その中で、死亡率は約20~40%、神経に後遺症が残る確率は約45~70%と報告が出ています。

日本脳炎のケア

対症療法が基本となってきます。

豆知識として赤ちゃんに、発熱・吐き気・嘔吐が現れたら、感染症・疾患を疑い、可能な限り早い受診をお勧めします

一般的には、発熱と嘔吐が現れて受診されるお母さんが多く、大事には至らないのが大半ですが、数日で痙攣・意識障害が現れる事があるので油断はできません。

自宅にいて痙攣・意識障害も加わってきたら、緊急に受診が必要となります。

この場合は、救急車が適切です。

また、痙攣中は転倒・転落しないよう赤ちゃんの体勢を安定させるように抱っこしたり、月齢が進んできた赤ちゃんには布団の上で上体を高くさせて寝かせたりする事が大切です。

嘔吐があった場合は、可能なら口腔内を拭くかうがいをさせて、不快感を解消します。

吐き気・嘔吐が落ち着いたら、母乳・ミルク、又はおやつ、離乳食を少量ずつから与えて様子を見ます。また、誤飲しないよう注意しながら与えます。

発熱・頭痛は、高熱に移行しないように、頭部や頸部を柔らかいアイスノンで冷やし解熱・体力消耗の予防を促します。

発熱が確認された時間・体温値、一緒に確認されたいつもと違った点をメモにしていきます。

また、嘔吐の回数・性状・量、ぐったりしてきた、活気がない、遊ばなくなった等、些細な変化もメモにしていくと“これは普通じゃない”と勘が働きます。

同時に、“以前の風邪はこんなに吐かなかった”等、異変にも気づき、この何気ない気づきが重要になります。

お母さんの勘は当たる事が非常に多く、早急な対応に繋がる事も多いです。

日本脳炎の予防

日本脳炎ワクチンの接種が有効です。生後6ヵ月から実施可能です。

なお、ワクチン接種は7,5才・生後90ヵ月に至る迄の期間とされています。

ワクチン接種以外に、蚊の駆除、豚へのワクチン接種を試みる場合もあります。

ワクチン接種について

日本脳炎ワクチンは、平成17~21年度にかけて、積極的推奨を差し控えていた時期がありました。

これにより、ワクチン接種を逃している可能性がある赤ちゃん・乳幼児がいます。

お母さんは今一度、母子手帳を確認して接種していなかった場合は、早めにワクチン接種をされて下さい。

ワクチン接種の実際

4回、接種する事が推奨されています。以下に平均的な接種月齢・年齢を書きます。

1回目…生後6ヵ月~3,5ヵ月前頃まで

2回目…満3才~3,5ヵ月頃まで

3回目…満4才~

4回目…満9才~12才まで(標準は9~10才に達するまで)

上記の接種を逃している赤ちゃん・乳幼児をもつお母さんがいれば、託児所・幼稚園等に通園される事も配慮されて早めの接種が大切です。

日本脳炎はワクチン接種によって発症が予防され、赤ちゃんに辛い頭痛や嘔吐等の経験を回避し、重い後遺症を残さなくて済みます。

ウイルス保有の蚊は、赤ちゃんの血液を吸うと同時に日本脳炎ウイルスを植え付けていきます。

蚊の刺し方は、蚊が止まった・触れた感触がなく、痛みを感じさせないようにしてから血液を吸う特徴がある事から、痒みや発赤によって初めて蚊に刺されたと実感します。

この時、保有蚊であれば既に遅かったという状況もあるので、予防は万全にされてほしいと思います。

実際の患者さん

個人的には、小児臨床実習の際、脳へ後遺症が残り寝たきりの子どもを見ました。

受け持ちの赤ちゃん・乳幼児ではなかった事と、プライバシー保護の為に病状等は伏せられていたので詳細は不明ですが、

「赤ちゃんの時に発症したの。靴をはいた事が一度もない」

とお母さんが話されていました。

寝たきりで会話の成立が無く、両親が面会に来られても話しかけられても返答がなかったです。

頷きや一言の発声もなく、面会は終了されていました。

それでもご両親は、大きくなった我が子に年齢に合った本やおもちゃ等を置いて、必ず毎日、面会に来られていたのが印象に残っています。

また、季節によってはクリスマスの雰囲気を出す為にツリーやサンタクロースを飾っては声をかけて熱心でした。

その姿を見て、切なくも生きる力と親心を学び、その親子にしか分からない・味わえない親子の絆があるのだと感動しました。

お母さんの「赤ちゃんの時に発症した」という言葉から、妊娠中・出生時は何の異常も無く、順調に育っていた時、何らかの理由で病気になってしまったと思われます。

笑顔でしたが、笑顔になるまでの道のりは半端なかったと想像しますし、靴を履かしてあげたい・歩いてほしかったという背景も伝わりました。

これは、お母さんだけではなく、闘病中のお子さん・(当時は赤ちゃん)も同じ気持ちと思います。母子共に頑張っての出産を得ての事ですから。

まとめ

少し長くなってしまいましたが、臨床実習以外にも現場で働いていた時も障害が残った赤ちゃん・乳幼児、そしてその赤ちゃんが成長して小学生就学したのも見てきました。

個々の病態によっては、再手術・入院、定期通院があり、どれも小さな身体で頑張っていたのが焼きついています。

上記に当てはまらないにしても、日本脳炎ウイルスが脳神経に侵入・増殖したら上記の状態の可能性が十分にあり得ます。

脳神経は一度、病魔に侵されたら完全修復は不可能な臓器です。(もちろん、他の臓器・骨等も“100%完全“ではありません。)

初期症状の発見、早期診断・治療が重要ですが、予防接種で疾患を回避できるのは利点でもあります。

抗体を作る事で防げます。

ワクチン接種が速やか且つ順調に実施可能にする状態を、お母さん・家族に作っていただきたいと思います。

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