りんご病とはウイルス感染症の1つで、医学的には「伝染性紅斑」と呼ばれている疾患です。
顔がリンゴのように赤くなる事から、“りんご病”とも呼ばれています。
産まれた赤ちゃんも対象となりますが、お腹にいる赤ちゃん(胎児)にも影響がある疾患で、妊娠中~出生後までの幅広い範囲で捉え、知識を得ておいた方が良い疾患でもあります。
ココではそんな赤ちゃんや子供も気をつけたいりんご病の原因や症状、対処、予防法について説明していきます。
りんご病の原因
リンゴ病になってしまう原因はヒトパルボウイルスによる感染症で、特に学童期前後の小児に起こる“流行性発疹症“です。
経気道感染で、潜伏期は4~28日で平均16日前後です。
感染力は、潜伏期の発疹出現前に強く、発疹出現後は低下する特徴があります。
リンゴ病の症状
りんご病の症状としては
前駆症状の微熱
頭痛
軽度の咳・くしゃみ
等の上気道感染、頬に蕁麻疹のような蝶形紅斑が現れます。
その後、四肢に多型性紅斑が見られ、次第に癒合して網状・レース状紅斑となります。
基本的にには1~2日で消退します。
りんご病の対処法
基本的に対症療法となります。
上記の症状以外に、何か変わった事がないかを観察し、異変によっては“隔離”が目的で、入院治療が必要になる場合があります。
紅斑が頬や四肢に見られ、自宅にある以前に処方された軟膏を塗り、症状改善を試みるお母さんがいます。
これは、絶対に止めていただきたいものです。理由として、医師は受診時に適切な軟膏を処方しており、今回のりんご病には適さない可能性があります。
また、その軟膏を使った為に、合わない事が誘因となり、新たな肌トラブルを招いてしまう可能性も考えられます。
紅斑が消退するのは1~2日なので、経過観察して赤ちゃんに負担とならないケアを行いながら、異変時には病院へ直ぐ行ける準備をしておく事が大切です。
微熱と頭痛
熱感が著明でぐったりしている時は、冷やして様子を見ます。
払いのけたり、取ったりするような仕草がなければ、少し冷やすと心地良いです。
また、通気性に優れている衣類を着せたり、いつもより1枚、減らして着せたりするのもお勧めです。
咳やくしゃみ
そのまま様子を見ます。
「咳止めや抗生剤を内服する事は止めて下さい。」
上記と重複しますが、処方に当たって医師は、赤ちゃんの月齢、体重、受信時の状態、疾患によって適切な処方をしています。
また、咳やくしゃみは何らかの原因で体内に入ったものを、体内から出そうとしている現象です。
薬で止めてしまって、体内に原因となる異物が残っていては、内服中断後、再発のリスクも考えられます。
精神的ケアと注意点
感染力が強い事と、内薬ができない為、即効性を求められない事態です。
また、感染防止から接触を避けなければならない状態であり、赤ちゃんは“1人にさせられる時間が長い・増えた”と感じます。
同時に目に見える紅斑、合併症を伴っている場合・無い場合にしても、精神的な苦痛が大きく、一番、必要で肝心なお母さんが妊娠中、又は妊娠の可能性がある場合、メインで看病できない事もあります。
りんご病の症状は短くても、赤ちゃんにとって1~2日は長く、心身のバランスや生活スタイルまでも変化を強いられてしまう事になっています。
この為、もしお母さんが看病できない・看病時間が短い場合は、隣の部屋から声をかけて常に側にいる事を伝える事が重要になってきます。
また、赤ちゃんが寝ている・安静中の時でも、家事しながら赤ちゃんの好みの歌を歌って、側にいる事と励ます事を忘れないようにしていただきたいです。
隔離とは、身体の辛い症状に増して、追い込まれるような苦痛さえも伴います。同時に恐怖心や、見放されてしまったと寂しさも覚えるものです。
看病が可能なお母さんの場合は、通常通りの育児に追加しての看病となります。
しかし、感染病の1つである事から、ケア後や家事前には十分な手洗い・うがいをして赤ちゃんの症状悪化防止と、家族への感染の拡散防止に努める必要があります。
りんご病による合併症
では次にりんご病よっておこる合併症を紹介していきます。
主な症状は
関節炎
血液再生不良発作
紫斑病
胎児水腫
等と合併してしまう可能性があるので十分に気をつけたください。
関節炎
手関節、肘関節、足関節などで、両側対称性に起こります。
年長時以降に多く、女児に多い特徴があります。2~4週間のうちに軽快します。
血液再生不良発作
一過性の血液再生不良発作で、貧血症状を示さず1~2週間で自然治癒します。
慢性溶血性貧血を患っている赤ちゃん・幼児では、発熱、倦怠感、顔面蒼白等の急性貧血を起こし、重篤な合併症となります。
紫斑病
主な原因は不明ですが、点状出血・斑状出血を認めます。
血小板は正常範囲、又は減少してしまう病気です。
胎児水腫
経胎盤感染により、胎児の肝内の造血抑制が起こります。
この為、重症貧血、心不全に伴う水腫状態が見られ、流産・死産を合併します。
りんご病の予防
入院の場合は、隔離を必要とします。(他者への感染防止と、罹患中の赤ちゃんの症状増悪防止の為)
上気道感染がある時は、感染力があるとみなし、他者との接触はできるだけ避けるよう努めます。家族はマスクを着用する、手洗い・うがいを行う等して防止に努めてください。
妊婦が感染すると、胎児水腫を合併するので、妊娠の可能性が否定できない女性は、接触しないように注意します。
既に妊娠が判明しているお母さんは、絶対に接触しないよう、家族に役割分担をしてもらい、ケアを実施しないようにします。
症状出現後は、感染力が弱いので託児所や保育園、通学、外出は軽快・治癒してからできます。症状が落ち着き、安定してから外出が可能といった状態です。
子供と隔離
私の家ではまだ、りんご病に感染した事がなく、私の子どもも今のところ感染していません。
しかし、隔離については、自分が看護学校の臨床実習の時に体験しました。
精神的苦痛がとても強く、恐怖と不安、やけに時間が経つのが長かったのを鮮明に覚えています。
他の学生も嫌がったり、泣きだしたりする学生もいました。大人でさえ、隔離は図り知れない思いが個々にあり、その苦痛は個人差があっても全ての共通点は、“可能なら隔離はされたくない”でした。
大人でさえ、心身の苦痛があるものです。
増して、赤ちゃんだったら壮絶な事態になってしまいます。
しかも、そこにりんご病を患っているのですから、身体と心のケアが同時になされないと苦痛は軽減しないでしょう。
少し、リンゴ病とは話しがずれますが、私の子どもは以前にインフルエンザに感染しました。
その時私は移る覚悟で看病し、直ぐに移ってしまった経験があります。
その時に、トイレに行きたくて
「トイレね、直ぐ戻るよ」
と声をかけたのにも関わらず、高熱でふらつきながらも、後を追ってトイレまで来た姿を見た時、
「身体に異変がある時で、しかも夜は怖いんだ」
「ふらつきながらも、1人でいるのは心細く不安なんだ」
と実感し、同時に学びました。
それ以降は、トイレに行ける状態かを聞き、「一緒、行くよ」と言った時は連れて行きました。
また、子どもが寝ている時は簡単な家事を行いながら、気に入っている・好きな歌を歌ったり
「ご飯、作っているよ。作ったら行くからね」
等、声をかけたり、家事が済めばマスク着用して側にいて、手や頭を撫でたりしていました。
罹患による心身の疲労もあるせいか、掛け声、歌ったり撫でたりしていたらグッスリ眠ったのを覚えています。
赤ちゃんは、難しい言葉は理解できなくても、大人より非常に聴覚と察知力に優れています。
寝ているから黙ってよう、声はかけない方が良いと思われていたお母さんがいらしたら、今日から試されてみて下さい。
ちょっとりんご病からは離れてしまいましたが、隔離される赤ちゃんや子供のことをちゃんと考えてあげてくださいね。
まとめ
りんご病は比較的、症状が短い疾患ですが、隔離が必要な為、精神的なケアも重要で求められているものです。
また、合併症を併発するとその症状に数週間、時間を要します。
時間が多少かかっても軽快・治癒する事を伝え、母子共に・家族と共に頑張って回復を目指していただきたいと思います。
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