圧迫方法で自然治癒可能な赤ちゃんのでべそ「臍(さい)ヘルニア」

赤ちゃんのお臍が出ている状態を一般的に“でべそ”と呼ばれています。

医学的には、“臍ヘルニア”と言われており、ほとんどが自然治癒可能な、小児の消化器疾患の1つです。

話される方によっては「臍の緒の切り方が悪かったから、でべそになった」、「上から5円玉を当てていれば治る」等と言われていますが、出生時の際、臍帯切断によって後から臍ヘルニアを発症するという根拠はありません

また、「5円玉を当てていれば治る」と言われてきた背景には、医療や景気が今のように栄えていなかった時代は適していた方法で、昔の方の最善の知恵と活躍です。

しかし、医療も衛生面も発達している現代で、且つ赤ちゃんのデリケートな肌へ硬貨を乗せるのは、衛生面・清潔の意味では適しないものであり、実施されている方がいないのが現状です。

臍ヘルニアと圧迫法による自然治癒の実際について書いていきます。臍ヘルニア以外にも、“臍帯ヘルニア”もあります。

また、臍ヘルニアより多いのが、“外鼠径ヘルニア”です。この外鼠径ヘルニアについては、豆知識としてご紹介したいと思います。

臍ヘルニア

出生直後の臍輪の閉鎖不全によって起こり、乳児にしばしば見られるものです。

全体の約10%、特に低出生時体重児で多い傾向がある疾患で、ほとんどが、自然治癒するという特徴があります。

症状

生後2~3週過ぎに、泣いたり力んだりした時の腹圧上昇時に、臍部が膨隆する事で気づかれます。

膨隆しても破裂したり、破けて中身が出てきたりする事はありません。

初期はヘルニア門(臍輪)が大きい為、腸が脱出して球状に大きく膨らむ事が多く、ヘルニア門が小さくなると、腸管の脱出は消失し、嵌頓は稀です。

治療

1歳までに約80%、2歳までに約90%が自然治癒しています。

以前は、圧迫等の保存的治療は、あまり効果が無いとされてきましたが、近年ではその効果が認められ再認識されています。

1歳を過ぎて、改善傾向が見られなければ手術を考慮しますが、通常は臍内手術であって、手術創は残りません。

手術となった場合は、全身麻酔下にて行われます。

スポンジ圧迫法とケア

処方されたスポンジを使用し、臍へ少し圧迫して固定し、基本的には、入浴時以外は全てスポンジで圧迫します。

また、テープによって肌の発赤やかぶれが起きた場合は、テープとフィルムの使用を中断し、小児科受診をお勧めします。

臍ヘルニアの大きさにスポンジをカットして、綺麗にしてある臍の上にスポンジのラベル(シール)を剥がして、臍に貼ります。

スポンジ固定の意味で、粘着テープをスポンジがずれないように、少し圧迫(押し気味)しながら貼り、更にその上から、防水フィルム(テガダム)を貼って完成となります。

排泄物や発汗による汚染を防止する為、防水フィルムを貼って汚染から守ったり、汚染時は交換したりして清潔を保つように心がけます。

入浴前には外して、臍の部分も丁寧に優しく綺麗に洗い、強く擦らずに泡洗浄を意識されると良いです。

入浴後は、押さえ拭きして水分をしっかり取り、十分、乾燥してから再びスポンジ圧迫法をします。

この圧迫法によって、臍ヘルニアが少しずつ膨隆の高さが低くなったり、膨隆の大きさが小さくなったり、皮膚の皮が進展する事も防止または軽減する事ができます。

大半の赤ちゃんが、このスポンジ圧迫法で自然治癒しているそうですが、極少人数の赤ちゃんが1歳を過ぎても完全に治癒できず、手術によって治療が行われています。

実際に、手術した赤ちゃんの創は、手術したと聞いてもほとんど分からないくらいで、臍独特のしわのような個性ある形である事もあり、外見からも全く気づかず分からないです。

外鼠径ヘルニア

小児外科疾患で、もっとも頻度が高い疾患で、その発生率は小児の数%にまで上り、1歳以下に多く、男児にやや多いのが特徴です。

外鼠径ヘルニアは、胎生期における腹膜の鼠径管内への嚢状突出、腹膜鞘状突起が開存したままでヘルニア嚢となり、主に腸管等の腹腔内臓器がヘルニアを起こす疾患です。

症状

病側の鼠径部が膨らむ事が特徴的で、特に腹圧がかかる時や夕方になると膨隆が見られます。約10%は両側性に発生します。

乳児は時に嵌頓を起こし、嵌頓が起こると痛みを伴い、不機嫌や嘔吐が見られ、局所は硬く腫脹して圧痛を伴います。

放置すると、血行障害により腸管壊死を引き起こすので、直ちに用手的に還納させます。

治療と予後

自然治癒も認められますが、これは極一部で手術を要します。

手術では、鼠径ヘルニア嚢を根部で結紮(高位結紮)して治療します。ヘルニア嚢高位結紮手術後は、予後良好です。

どんな時も、赤ちゃんと一緒という事を忘れずに

臍ヘルニアは自然治癒が高く、圧迫法の効果に期待ができて且つ跡が残らない疾患です。

親・家族としては、治療の為に入院や通院、辛い・痛い思いをさせないで済みます。

そして、小児科医が自分の赤ちゃんに合った、適切な治療法と圧迫する材料が提供され、自宅で手軽に実施できるという面も優れていると思います。

自宅でも処置ができて、我が子に触れ合いながらケアできるというのは、母として・親としても、嬉しくやりがいのある事です。

そして、日々の様子が把握できて改善の喜びを実感できるのは素晴らしいとも思っています。

私は、娘が臍ヘルニアはなかった為、実際に受診して処置したり、毎日ケアして経過観察したりした事はありません。

しかし、現役の頃、臍ヘルニアが完治せず手術をされた乳幼児を見てきました。

小さな身体に全身麻酔で行われ、術後はその全身麻酔薬の不快感から泣いていました。

中には、創より、麻酔の不快感(麻酔科医師と小児科医師の教えより)に泣き叫ぶ・暴れるお子さんもいました。

私も全身麻酔の経験、局所麻酔やブロック注射の経験があり、その不快感や違和感、何とも伝えきれない思いをしました。

個体差もある、疾患や薬理作用に個人差もある、と言われていて、当時、大人でもあった私でも身体に影響を残しました。

なので、まだ小さな赤ちゃんや乳幼児(子ども全般的に)は、とても辛くて大人の何倍も頑張ったと考えています。

可能であれば、全身麻酔も入院も治療もしたくないですが、放置するわけにもいかないので避けられません。

もし、お子さんが臍ヘルニアとなった場合は、信頼できる小児科を受診して、先ずは圧迫法で自然に軽減していき、日ごと徐々に治っていく事を信じて、毎日ケアに励まれていただきたいと思います。

お母さんも頑張っていますが、赤ちゃんも一緒に頑張っています。

上記に書いた、昔の方達が行っていた“5円玉を当てる”と言う圧迫法は、現代で言うスポンジ圧迫法であるとも感じています。

私の祖母が以前、「昔の産婆さんは、何も医療器械や物がなくても、みんな赤ん坊を取り上げたもんだ。今の助産師はそれもできないし、やってはいけない時代だな。時代も変わって良いところもあるけど、できなくなったものもあるものだな」と言っていました。

祖母が言うのも無理もなく、しかも現実に存在しています。

仮に手術となっても、後悔や自責の念ではなく、前向きで送り出して下さい。

これは、他人事と軽視しているのではありません。

赤ちゃんが手術室へ入っていく時、お母さんや家族の方達が泣いたり、悲しそうな顔をしていたりすると、不安を感じてしまいます。

赤ちゃんは“そんなに大変な事態なんだ”、“お母さんを泣かせる事をしたんだ・泣くくらいの事なんだ・・・”と受け取り、赤ちゃんも良い状態で臨めなくなってしまいます。

これは、難しいことと思いますが、その光景が赤ちゃんの心に大きく残ってしまいますので、極力、悲観的やマイナス的な感情・思いは止めてください。

考え方や捉え方を変えると、雰囲気や表情も変わっていき明るい方向へ進むと思います。

どんな時も、赤ちゃんと一緒という事を忘れずに、気持ちをしっかりもって励む事が大切と思っています。

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